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パソコンの発達について
あなたのパソコンは何故色褪せるのか
はじめに
大枚はたいて折角買ったパソコンがあっという間に陳腐化してしまう事は良くある事です。TV、冷蔵庫、洗濯機などの家電などは数年前の商品でも何不自由なく使えますし、余程古くない限り古さに不満をつのらせる事もありません。では、なぜパソコンや周辺機器はすぐ陳腐化してしまうのでしょうか?
コンピュータって?
パソコンもパーソナルとは付いているものの立派なコンピュータです。言うまでもなく、現在のコンピュータは家電等に内蔵されているワンチップのものからスパコンまでトランジスタ等のシリコン半導体のかたまりです。
さて、コンピュータは大きく分けて演算装置と記憶装置と入出力装置とその他から成り立っています。このうちの入出力装置はキーボード、マウスとCRT、液晶、プリンタ等です。いわゆるマン−マシンインターフェイスと呼ばれる部分で機械と人間との情報をやりとりする場所です。場合によっては、他の機械とのやりとりになる場合もあります。記憶装置はメモリとHDD及びその他のストレージデバイス(FDD,CD-ROM,MO,CD-R,DVD等)です。計算結果やプログラムやデータなどを蓄えて置く場所です。演算装置には心臓とも頭脳とも言われるCPU(MPU)が先ず思い浮かびますがその他にも現在のパソコンでは様々な演算装置があります。これらは色々な計算をする場所です。
高速化、低価格化の流れ
これらのうちの演算装置とメモリ、液晶等は実はトランジスタ等のシリコンの塊です。トランジスタはその昔ベル研究所で発明された時には真空管と同じく一つの部品(パーツ)は一つの機能しか持っていませんでした。
それが、IC(集積回路)という形で複数の半導体(トランジスタ、ダイオード)を一つの部品にまとめる事が可能になりました。これをチップと呼びます。やがて、ICの集積度が上がり(一つのチップに多数の半導体を多くまとめる)、ICはLSIと呼ばれる様になります。この集積化の流れは加速しつつ、現在も続いています。
CPUの歴史は嶋正利先生が開発したintelの4004に端を発します。この4004から始まったCPUは時代と共に8bit,16bit,32bit,64bitと扱えるbit数の上昇と様々な高速化や高機能化(クロックのUP、キャッシュメモリの内蔵、命令セットの追加など)に伴い、一つのチップに集積される半導体の数も増え続けています。この高集積化のためには、半導体及び内部配線の微細化が必要です。そして、微細化、高速化が進む程、発熱や消費電力の問題が有り、動作電圧も低下していきます。この流れはCPUだけでなく、メモリチップ等の他のLSIチップでも同様です。良く○ミクロンルールと呼ばれるのはこの内部配線の太さを示したものです。
LSIチップの製造は一つのシリコンウェハーからどれだけのダイが取れるかによってそのコストが左右されます。集積化が進み、一つのウェハーからとれるチップの数が増える程コストは下がります。また、ダイの大きさが変わらなければ、集積化が進む程一つのチップに入るトランジスタが増加します。どのチップでも量産当初は歩留まりが悪く、チップ単価は高い物になります。しかし、量産が進むと共に歩留まりも向上し、チップ単価は安くなってきます。高集積、高速化のために微細化(配線している回路の太さのミクロン数の低下)が進みチップあたりのダイの大きさが小さくなると、一つのダイあたりからとれるチップが多くなりチップ単価は低下します。これは、CPUだけでなく、メモリでもそうです。
また、PC-9801(初代)やIBM PC(初代)やMacintosh(128k)の頃にはCPU以外に記憶装置やI/Oなどとの接続を制御するための周辺チップはかなりの数がありました。これらもチップセットという形で統合、集積化が進んできました。その他に、グラフィック描画チップも多機能化(ウインドウズアクセラレーションや動画再生、3D再生支援)と周辺チップの統合(RAMDAC内蔵)という進化が進んでいます。TFT液晶もトランジスタの塊ですから、量産化で低価格、大画面化していきます。ハードディスクも磁気密度の向上と高回転化磁気ヘッドの改良による大容量化、高速化が進み、MBあたりの単価が低下しています。また、モニタやキーボードやマウス、FDD、CD-ROMドライブもパソコンの全世界的な普及による量産化により低価格化しています。こうしてパソコンの全ての部材が高速、大容量化と低価格化をなしとげました。
なぜ、高速、大容量化なのか?
16bitCPUの頃はCUIのOSが中心だったのが、32BitCPUとともにWindowsをはじめとするGUIなOSが普及しだすと、テキストVRAMへのコマンド呼び出しから画面全体を描画する様になります。こうなるとCUIベースでは十分な能力を持っていても、GUIベースでは能力が足りなくなります。同じパソコンでそれまでCUI(DOS)でサクサク動いていたのが、GUI(Windows)にするともっさりと動くようになったのは古くからパソコンを使っていた方は良くご存知でしょう。
OSがGUIベースになるとその上で走るアプリケーションソフトも多機能化の道を歩む様になります。各ソフトハウスによる機能競争のおかげでアプリケーションそのものも肥大化して、大容量HDDと高速CPUを要求する様になります。また、パソコン上で扱う画像も多色化と高解像度化が進行していきます。それまではゲーム以外では使われなかった音も一般的に扱う様になってきます。さらには動画というもっとも処理能力を必要とするソフトも出てきます。マルチメディアパソコンの誕生です。ソフトもフロッピーディスクによる供給では大容量化に間に合わず、CD-ROMディスクによる供給が当たり前になります。しかし、音楽CDでは十分な転送速度もパソコンのHDDに比べると遅く、回転数を上げて転送速度を速くしたN倍速CD-ROMが登場します。
また、OSがマルチタスクをサポートして複数のソフトを立ち上げるのが当たり前になるとディスプレイの画面もそれまでのDOSベースの狭い画面から高解像度の要求が出てきます。CRT及びTFT(DSTN)液晶でも、大画面で高解像度が要求される様になってきます。
全てにわたってもっと速く、もっと快適にという要求が大きくなってきます。そうして、パソコン業界全体があくなき高速化へ踏み出します。486からP5、P54Cへと高速化が進み、Windows95がデビューします。CPUはさらにMMX命令セットが追加されたMMX
Pentium(P55C)からPentiumIIへと進化していきます。
もう一つの流れ
しかし、Windows95がそれなりに走るスペックが当たり前になってくると、高速化とは別にもう一つの流れが出てきます。アメリカでの1000ドルPCから始まる低価格PCです。これらはCPUにチップセットやグラフィック描画チップまで統合してコストダウンを計ったものです。グラフィック用のメモリもメインメモリと共用してパフォーマンスよりコストダウンを優先しています。この1000ドルPCは800ドルから600ドルと年々価格が低下しています。同じ価格帯で高速、大容量化に向かうのでは無い新しい流れです。
これは、いままでと違う層をターゲットにしてさらなるパソコン普及を計ろうというものです。これらの低価格PCは最新鋭のハイエンドマシンから比べるとスペックは低いですが、Win95デビュー時のハイエンドマシンよりCPUスペックなどは上回っています。Windows9Xが十分な速度で走り、インターネット閲覧(ネットサーフィン)やワープロ、表計算といった通常の人間が用いる用途には十分といえます。これは、高速化一辺倒だった業界の流れが変化してきている事を現します。例えば、CD-ROMドライブが等速から2倍速、4倍速へと進化した頃は誰にも高速化が体感出来ました。しかし、10倍速以上になると、カタログスペック差程の体感の差はありません。20倍速から40倍速になったからといってベンチマークテストでも取らない限り通常の用途では体感による差は感じる事が出来ません。また、ワープロや表計算を使う限りでは現行のグラフィックチップでの2D描画も大差ありません。ある部分では高速化が一般ユーザに体感出来ないところまで進んだとも言えます。
通信事情
数年前までは一部の企業を除けばパソコンはスタンドアロンで使うのが当たり前でした。DOSでLANを組んでいるのは企業かマニアに限られていました。通信といってもモデム経由でホストコンピュータと接続するパソコン通信しかなく、それもほとんどが文章(TEXT)主体でした。画像を見ようとすると圧縮ファイルをダウンロードした上でそのファイルを解凍するといった手続きを踏まないと見る事が出来ませんでした。こういったパソコン通信は、接続しているのはほんの一時で、パソコンの使い方としてはスタンドアロンの域を出ていません。また、各パソコン通信サービスの間でのメールのやりとりも制限があり、それぞれのサービスが別々に存在しているといった形でした。
それが、Windows95と相前後して始まったインターネットの一般への爆発的普及により事情が変わってきます。それまで、各パソコン通信サービスで独立していたものがインターネットという画像や音声の扱える全世界規模のネットワークに繋げられる様になります。もう、コンテンツを見るためにそのパソコン通信サービスに入会するといった閉じた世界ではなくなります。プロバイダ(ISP)と契約する事で世界中のサーバを訪れる事が出来ます。一方、家庭内や小規模オフィスでもLANが当たり前になってきます。LANボード、ハブ等のネットワーク機器も低価格化してきます。会社や学校でもインターネットへ専用線で常時接続が増えてきます。そして、OCNエコノミーやCATVによる個人レベルでの常時接続も夢ではなくなりました。ダイヤルアップでの接続も14.4kモデムから28.8k,33.6kを経てISDNの普及により64kから2B使用による128kまで高速化されます。最近ではダイヤルアップルータの普及により家庭内LANからのルータ経由での接続も珍しくなくなりました。
ボトルネックはどこか?
Windows3.1デビューの頃には動画を扱うには、CPU、グラフィックなどパソコン自体にボトルネックが数多くありました。しかし、現在のMMX機能を持つパソコンであればMPEG1レベルの動画再生はたやすくなりました。皆さんがインターネットを楽しむ場合、よほど古いパソコン(486など)を使っているか、会社で大容量の専用線接続しているのでは無い限り、手元のパソコンがボトルネックになる事はほとんどありません。むしろ、相手のサーバまでの経路や相手先のサーバそのものがボトルネックになっています。例えISDNで128k通信してフルに帯域を使ったとしても、10Base-Tの数分の一の速度しか有りません。これはCバスやISAバスで十分処理できる速度です。インターネット閲覧(ネットサーフィン)する限りではMMX以上のスペックがあれば十分だと言えます。
これ以上速いパソコンは必要か?
仕事でプログラムのコンパイルをしたり、フルカラーの大画像を数多く処理したりするのであれば最新、最速のパソコンは価値があります。ビデオのデジタル編集や3Dのレンダリングなど、特殊な用途でもそうでしょう。しかし、インターネットなどの通信やワープロなどのオフィスソフト、年賀状作成などの通常用途ではもはやそこまでの性能はいらないのではないでしょうか?また、アプリやOSもすでに十分な機能があればあわててバージョンアップする事もありません。
ゲームや業務ソフト以外ではWindowsソフトは海外版のソフトを日本向けにローカライズしたソフトが増えています。これらも、海外での低価格PCの流れを受けて重厚長大なものより少ないリソースで動くものも増えてくると思います。インストールするだけで数百MB消費するソフトばかりを使い続ける事もありません。
もう一つの追い風はモバイルパソコンブームです。2.5インチHDDはどうしても通常の3.5インチHDDに比べ、容量が少なく同容量での単価も高くつきます。また、CPUもデスクトップに比べて高速化が遅れます。また、デスクトップに比べてノートのハードのアップグレードは容易ではありません。この様な少ないリソースで動作するノート向けのソフトを用いれば最新、最速のハードはさほど必要としないでしょう。
最新、最速のハードを要求する数少ない例外に3Dアクションゲームがあります。しかし、セガ、SONY、任天堂のコンシューマゲームマシンの方がタイトル数も多く、ハード、ソフト合わせても安価にあがります。「俺は真のゲーマーなんだ、金はかけても良い。」という方はアーケードゲーム基盤に走るべきでしょう。
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